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経営企画に転職するには|未経験から狙える現実的なルートと必要スキル

2026年8月17日 · 潮田 豊幸(World Finance Edu)
著者:潮田 豊幸。運用資産 US$125B の不動産プライベートエクイティでグローバル経営企画責任者を務めた実務家。現在はシンガポールでフラクショナルCFO、エンジェル投資、そして Mentogram School of Finance の Program Director 兼 Founding Partner としてコーポレートファイナンス教育を手がけています。米国公認会計士(USCPA)、INSEAD Global Executive MBA。 経歴・登壇・審査員の実績 ›

経営企画に移りたい。そう考えて求人を見てみると、募集要項に並ぶのは「中期経営計画の策定」「投資案件の評価」「M&A(合併・買収)推進」といった言葉ばかりで、いま自分がやっている仕事とどうつながるのかが見えない。応募していいのかどうかも判断できない。この段階で止まっている人はとても多いと思います。

経営企画は、特別な資格や決まった経歴がないと入れない職種ではありません。ただし、評価される軸ははっきりしています。この記事では、経営企画が実際にやっている仕事、経理や営業やコンサルティングからの現実的なルート、そして未経験の段階で先に埋めておくべきスキルと学ぶ順番を整理します。

経営企画は実際に何をしているのか

会社によって守備範囲は変わりますが、仕事の中身は大きく4つに分かれます。求人票の抽象的な表現も、この4つに当てはめると読めるようになります。

業務実際にやること接する相手
予算と予実管理年度予算の取りまとめ、月次の差異分析、着地見込みの更新各事業部、経理、役員
中期経営計画3〜5年の事業計画づくり、数値目標と施策の紐づけ経営陣、事業部長
投資判断設備投資や新規事業の採算評価、投資委員会への上程事業部、財務、経営会議
M&A(合併・買収)と提携候補の検討、企業価値評価、デューデリジェンス(買収調査)の管理外部アドバイザー、法務

共通しているのは、事業の言葉と数字の言葉を行き来する仕事だという点です。事業部が語る「この設備を入れたい」という話を、投資額とキャッシュフローと回収期間に翻訳し、経営が意思決定できる形にする。逆に、経営が決めた数値目標を各部門が動ける施策に落とす。この往復ができる人が経営企画では重宝されます。

経営企画は「数字をつくる部署」だと思われがちですが、実務での比重はむしろ数字を使って人を動かすほうに寄っています。集計や資料づくりの作業はAI(人工知能)とツールで急速に軽くなっていますが、事業部長に厳しい前提を飲んでもらう交渉や、複数案のどれを推すかという判断は残ります。転職の準備をするなら、後者に効く力を意識してください。

どこから経営企画に入るのが現実的か

経営企画は新卒で直接配属されることが少なく、社内異動か中途採用で入るのが一般的です。出身別に、強みと埋めるべきギャップを整理します。

経理・財務から

最も距離が近いルートです。決算書の構造が体に入っているのは大きな武器で、事業計画の数字の妥当性をすぐ疑えます。一方で、経理は過去を正確に締める仕事、経営企画は将来を決める仕事という違いがあります。ギャップになりやすいのは、正解のない前提を自分で置いて前に進める力です。決算書の見方そのものに不安があるなら、決算書の読み方|初心者が最初に見るべき3つのポイントで土台を確認しておくと安心です。

営業・事業部から

現場の実感を持っていることが強みです。計画の数字が現場で動くかどうかを肌感で判断でき、事業部との交渉でも信頼されやすい。埋めるべきは、企業価値評価や投資判断といったファイナンスの共通言語です。ここは独学で十分に届く範囲なので、社内公募を狙うなら先に手をつける価値があります。

コンサルティング・投資銀行から

分析と資料化の速度は明らかに有利です。ただし事業会社の経営企画は、提案を出したら終わりではなく、実行して数字が出るまで付き合う仕事です。同じ相手と何年も向き合う前提で信頼を積めるかが問われます。

未経験・別職種から

いきなり大手の経営企画に転職するのは簡単ではありません。現実的なのは二段構えです。まず自社の中で経営企画に近い仕事、たとえば事業部の予算取りまとめや投資案件の起案を取りにいく。そこで実績を1つつくってから、社内公募か転職に進む。もう一つの道は、規模の小さい会社の管理部門に入り、経営企画・経理・財務をまとめて担当することです。守備範囲が広い分、短期間で経験が濃くなります。

評価されるスキルと、学ぶ順番

面接で見られているのは知識の量ではなく、判断に使えるかどうかです。優先度の高い順に並べます。

  1. 決算書を読む力:損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書のつながりを説明できること。すべての前提になります。
  2. 投資判断の指標:NPV(正味現在価値)とIRR(内部収益率)で案件を評価できること。実務で最も使う道具です。NPVとIRRの違いと使い分けで押さえられます。
  3. 企業価値評価:DCF法(割引キャッシュフロー法)とマルチプル法の考え方。M&Aや事業ポートフォリオの議論に必要です。
  4. 資本効率の視点:ROIC(投下資本利益率)とWACC(加重平均資本コスト)の関係。ROICとROEの違いに迷う人へで整理しています。
  5. Excelでのモデリング:感応度分析まで自分で組めること。面接で「どう試算したか」を聞かれたときに差が出ます。

この順番には理由があります。1と2ができれば実務の入口に立てますが、1を飛ばして3から入ると、DCF法の計算はできても入力する数字の妥当性を判断できません。何をどの順で学ぶかはコーポレートファイナンスの独学ロードマップに詳しくまとめています。

資格については、必須ではありません。米国公認会計士(USCPA)や中小企業診断士があると書類は通りやすくなりますが、経営企画の面接で本当に問われるのは「自分で判断した経験」です。資格の勉強を理由に応募を先送りするより、いまの仕事の中で数字を使って何かを決めた事例を1つ言語化するほうが効きます。

職務経歴書と面接で効くこと

経営企画の選考では、担当した業務の一覧より、判断の過程が見られます。書き方を変えるだけで通過率が変わることは珍しくありません。

まとめ

経営企画で使うファイナンスを、体系的に学ぶ

GYOSEKI × World Finance Edu 共同制作のオンライン講座「AI時代の、ファイナンス・キャリア再設計」。外資系エクイティアナリストとグローバル企業の経営企画責任者が、投資判断と企業価値の「測り方」と「つくり方」を約3〜3.5時間で解説します。

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潮田豊幸
潮田 豊幸(Toyoyuki Ushioda)
World Finance Edu 代表(シンガポール)。
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